QCDも欲張りたい(前編)
こんにちは、トーマです。
今回は品質トークです。
突然ですが、QCDという言葉をご存じでしょうか。
Quality(品質)
Cost(コスト)
Delivery(納期)
の頭文字を並べたものです。 この3つは、開発・製造業において、欠かすことのできない重要な要素です。
これらをいずれも向上させることは、組織における永遠の課題です。
他方を優先すると、他方が疎かになりやすいという特性を孕んでいます。
今回はそれぞれの要素の特徴について考えを述べたいと思います。
なお、今回は「ソフトウェア」を前提としての意見となりますのでご了承ください。
Quality(品質)
ソフトウェアの品質の良しあしです。
品質が高い、という状態を説明するのは難しいですが
「不具合だらけで使い物にならない」「動作が非常に重く不快である」「要求が満たされていない」など
品質が低い、という状態を説明するのは簡単だったりします。
日本人は、特に品質にこだわるというイメージが強いですね。
品質には「当たり前品質」「一次元品質」「魅力的品質」という考えもあります。
『当たり前品質』は、文字通り「満たされて当たり前」のことです。
電子レンジを例にすると、電源が付く、ドアが開閉できる、物が温められる、などです。
『一次元品質』は「満たされると満足、満たされないと不満」となるものです。
電子レンジだと、タイマー機能、ワット数の切り替え、ディスプレイの見易さ、などでしょうか。
一般的なのソフトウェア開発における「顧客要求」はこれに当たります。
『魅力的品質』は「満たされると満足、満たされなくても仕方ない」となるものです。
電子レンジだと、オーブン機能、調理機能、省エネ、などでしょうか。
ソフトウェアに+αの価値を付与するものです。
これらは一定ではなく、時代と共に移り変わるものだと思っています。前述したタイマー機能については、もはや当たり前かもしれませんね。
「当たり前品質」「一次元品質」を満たしつつ、「魅力的品質」で差別化をすることが価値向上への近道だと思っています。
Cost(コスト)
製品を作るためのコストです。
材料費・人件費・機器の維持費・特許の利用費など、コストといっても数多くあります。
ジェネリック薬品など、性能が全く同じならばあえて高いものを選ぶ人は少数派だと思います。
ユーザも一緒で、同じ品質・納期であれば、できるだけ安く済ませたいという思いがあるはずです。
(なので相見積もりなどが一般的になっているとも言えます)
Delivery(納期)
これは少し説明が難しいですが、ユーザにいかに早く届けられるかです。
注文したらすぐに欲しいのは当たり前ですね。
同じ料理で10分待つのと30分待つのでは印象がだいぶ異なります。
後者はかなりの付加価値を見出さないと、前者には勝てないでしょう。
他にも、リリースが遅くなったせいで他者製品にシェアを奪われる可能性があります。
せっかく高品質・低予算での作成が実現しても、買ってもらえないのでは本末転倒ですね。
まとめ
以上がQCDの3要素です。
読んでいただければわかる通り、これらを全て満たすのは容易ではありません。
料理を急いで作れ(D)、と言われたら、人手(C)も必要ですし、急いだことで、十分な味付け(Q)にできない可能性もあります。
このバランスをいかにとっていくかが品質担当者の腕の見せ所です。
長くなってしまったので今回はこれで切りたいと思います。
後編では、実際にどうやってバランスをとっていけばいいのか、私なりに綴ってみたいと思います。